◇ イソップ童話「アリとキリギリス」で
描かれているアリは大変働き者です。
しかし、北海道大学の長谷川准教授らは、
働くアリばかりを集めると
必ず働かないアリが出てくる現象を
実験で立証しました。
働かないアリがいるから、
不測の事態に対応できると
みています。
グローバル競争に負けないようにと
効率性ばかりを追求する人間社会ですが、
アリの社会に潜む巧妙さを
見習うべき点があるのかもしれません。
◇ アリのなかにも働かないアリがいるのは、
これまでも知られていました。
しかし今回の研究がユニークなのは、
働くアリだけを集めて飼育観察したところ、
ほとんど働かないアリが10%の割合で
でてくることを突き止めたからです。
働かないアリは、
何も怠けて働かないわけではありません。
周りに働いているアリがいなければ働くし、
働くアリと大きな能力の差があるわけではない
ことは実験でも証明済み。
◇ では、なぜ、必ず一定の割合で
働かないアリが存在するのか。
長谷川准教授は生き物も疲れる点に
着目しています。
「疲れて働けなくなったアリが出てきた時に、
代わりに働くためではないか」
との仮説を立てました。
もし全員が猛烈に働き疲れはててしまうと、
突然巣に敵が侵入してくるなどの
不測の事態が起きたとき誰も戦えず、
巣は滅びてしまう。
絶滅リスク回避を最優先して
「あえて効率の低い仕組みを採用している」
ということになります。
「多様性がある集団は有事にも強く、
巣を長く存続させるために重要な
戦略となっているのではないか」
と言われます。
◇なるほど、これはアリだけではなく
人間社会にも大変参考になります。
そう言えばむかし読んだ「組織論」
という本の中にもこのようなことが
書いてありました。
「ある程度余裕をもって人材を
確保しておくと会社が長続きする」
変化に対応するためには、
余分な経営資源や人材が必要とする考え方は、
組織論の研究からも裏づけられています。
◇ 仕事の成果が出ない社員に
あまり目くじらを立てることは
よくないことかもしれません。
もしかしたら彼らは、
トップ集団が疲れてきたときに、
威力を発揮する人材なのかもしれません。
アリ社会はそんなことを
我々人間に教えているのです。
<今日の名言>
まず名前、そして顔が思い出せなくなる。
次にズボンのジッパーを上げるのを
忘れるようになって、
最後にジッパーをおろすのを忘れるようになる。
ジョージ・バーンズ
*トンビはこのようになる前に
死ぬことができるように
不摂生に心がけています。
今日一日の人生を大切に!