◇ これまで紹介した企業はいずれも、
成長市場の波に乗って業績を伸ばしてきた
わけではありません。
むしろ、その多くがすでに
成熟してしまった市場です。
そこに熱狂的な顧客を抱えこんだことが
勝因となっています。
欧米では2000年以降、
こうした熱狂的な顧客作りに
力を注ぐ企業が増えています。
フィリップスやゼネラル・エレクトリック(GE)、
アップル、アメリカン・エクスプレス
といった名だたる企業が
「ネット・プロモーター・スコア(NPS)」
という、顧客ロイヤルティー指標を
経営に取り入れています。
◇「NSP」は次ぎの方法で算出されます。
あなたはこの製品・サービスを
友達に薦めますか?
という問いに対して消費者に
0~10点の間で答えてもらいます。
0~6点を「批判者」
7~8点を「中立者」
9~10点を「推奨者」 とし、
推奨者の割合から批判者の割合を
引いて導き出します。
ここで重要なのは、
批判者の多寡ではありません。
9~10点をつける推奨者が
どれだけ多いかということになります。
◇ たとえ不満を持つ消費者がいても、
それを上回る熱狂な推奨者が多ければ
商品の販売力は衰えることはないからです。
極論すれば、
一部に強烈なアンチファンがいても、
それ以上のファンがいれば
商品は売れ続けることになります。
ところが、
「多くの日本企業は批判者を
減らすことに力を注いできたため、
熱烈なファンを作るのが苦手」です。
特に1部上場企業は、
誰が手にしても不満や嫌悪感を感じず、
万人が受け入れられるような
「八方美人」型の商品をあまねく公平に
提供してきたということになります。
しかしこの八方美人型では、
お客さまを強烈に引きつける
個性や特徴をそぎ落としかねません。
その結果、
どこの企業にも似たような商品が並び、
ライバルとうまく差別化できずに
価格競争に陥ることも考えられます。
あまねく公平ではなく、
企業の根強いファンを利用するような、
そんな戦略が必要です。 完
<今日の名言>
頑張って前に進むと、
そこでしか見られない景色と、
そこでしか出会えない人に出会える。
天海祐希(女優)
*頑張った人でないとわからない言葉です。