◇ 市場に出回っている商品が、
個性を失ってしまい、
消費者にとってみればどのメーカーの
どの商品を買っても大差がない状態。
これを 「コモディティ化」
と呼びます。
つまり個性のないものはすべて
「コモディティ 」です。
コモディティ化した市場で
商売することの最大の弊害は
「徹底的に買い叩かれる」ことです。
さて、トンビがお伝えしたいことは
”コモディティ化するのは商品だけではない”
ということです。
◇ 労働市場における人材の評価においても、
同じことが起きています。
これまでの「人材マーケット」では、
たとえば資格やTOEICの点数といった、
客観的な数値で測定できる指標が
重視されてきました。
しかしそうした数値は、
極端にいえば工業製品の
スペックと何も変わりがありません。
同じ数値であれば、企業側は
安く雇用できるほうを採用するに
決まっています。
だからコモディティ化した人材市場でも、
応募者の間で
「どれだけ安い給料で働けるか」
という給料の値下げ競争が始まります。
つまり資格やTOEICの点数で
自分を差別化しようとする限り、
コモディティ化した人材に
なることは避けられず、
最終的には「安いことが売り」
の人材になるしかありません。
◇ こうした「コモディティ化」の潮流が、
世界中のあらゆる産業で同時に進行しています。
したがってこれからの時代、
すべての企業、個人にとって重要なのは
「コモディティ化しないようにすること」
です。
個々の商品の性能自体が高いか低いか、
品質が優れているかどうかは、
関係ありません。
人間の採用についても同じです。
学歴が博士課程の人を募集するのであれば、
「博士」というスペックで、
もしくは東京六大学以上の学歴で
TOEICが、900点以上という
スペックで募集をかける。
そうすると、そこに集まった人は
「みな同じ」価値しかない。
そこから付加価値が生まれることはない
ということです。
業務マニュアルが存在し、
「このとおりに作業できる人
であれば誰でもいい」
という仕事であれば、
経営者側にとっての関心は
「給与をどれだけ安くできるか」
という問題となります。
こうして、いかに人を買いたたくか、
という競争がグローバル市場の中で行われ、
「高学歴ワーキングプア」を
生み出す仕組みになっているのです。
◇ それでは、どうすればそのような
コモディティ化の潮流から
逃れられることができるでしょうか?
それは、人より勉強するとか、
スキルや資格を身につけるといった
努力はあまり意味をなしません。
答えは
「スペシャリティ」
になること。
要するに
「ほかの人には代えられない、唯一の人物」
になることです。
◇ あらゆる業界、あらゆる商品、
あらゆる働き方において
「スペシャリティ」は存在します。
しかしその地位は決して
永続的ではありません。
ある時期に「スペシャリティ」で
あったとしても、時間の経過に伴い、
必ずその価値は減じていき、
コモディティへと転落していきます。
「スペシャリティ」になるために
必要なのは、これまでの枠組みの中で
努力するのではなく、
まず最初に資本主義の仕組みをよく理解して、
どんな要素が「コモディティ」と
「スペシャリティ」を分けるのか、
それを熟知することが大変重要になります。
どの分野で「スペシャリティ」のなれるか、
沈思黙考する必要がありますね。
今日一日の人生を大切に!