◇ セールスマンは間違いなく職人です。
厳しいセールスの経験があるからこそ、
身に付いた味のあるテクニックや
かたくなまでに譲らないスタイルを
何があっても貫き通す者も多数おられます。
そんな一人、「チビゴジラ」という
ニックネームをもった営業マンを
本日は紹介いたします。
◇ 彼は訪問して出て来た奥様に、
まず松井某の名刺を丁重に出し、
「私、松井という者でございます。
ご存じかどうかわかりませんが、
むかしプロ野球元巨人軍に
4番ゴジラ松井 という選手が
いましたが、その父親でございます」
(当時ゴジラ松井は巨人の4番だった)
と神妙な顔で挨拶する。
*もう若い人はゴジラ松井を知らない人も
いるかもしれないが…….
お客のほうは 「ウソッ!!」
と声を上げ笑いながら、
「からかわないで」 と
拳をあげるようなポーズをとる。
さらに、
「あなた、失礼だけど、小さい方じゃない、
ゴジラさんは すごっく大きな人よ!
嘘言っているんでしょう?」
などと言う。
すかさず松井さん、
「あっ、ごめんなさい、嘘を申しました。
今月初めて嘘をつきました!」
すると奥様からは必ず、
「今月初めての嘘?
それも嘘言っているじゃないの」
と笑って返してくる。
松井さんと奥さん、どちらもクスクス笑って、
そのまま昔からの知り合いのように会話が弾む。
偽名をなぜ松井にしたか、もうおわかりでしょう。
これが松井さんの営業における
見事な「アプローチ・トーク」なのです。
◇ 先に紹介した通り松井さんは
当時63歳で身長は158センチ。
小さな松井さんが、営業アプローチで
ゴジラ松井の父とウソをつくので
ニックネームが「チビゴジラ」に
なったのです。
このアプローチが超ベテランならではの
技であり、簡単に見えても誰にもマネが
できるものではありません。
これが 松井さん独自のアプローチなのです。
その後の松井さんは、腹を抱えるような
面白い話を、なんと一時間以上も続ける。
そして、いつものことだが、
必ず奥様の方から「はっ!」と気づいて、
「それで一体、
あなたは何しにいらっしゃったの?」
「どちらの会社の方なの?」
という質問をもらうことになります。
心の中で、「これを待っていた」と松井さん、
これを潮とばかりに「キャンペーン中の商品」
の説明をして、キッチリ購入までつなげていく。
この松井さんが一時間帰ってこなかったら
確実に商品が売れたと思っていいそうです。
これがまさに 秀逸の職人芸
松井さん! 大変勉強になります。
今日一日の人生を大切に!