◇「見ざる・聞かざる・言わざる」
の三猿で有名な日光東照宮。
その東照宮の陽明門は柱の一本だけを
逆さまにして 「不完全」 に
してあるそうです。
「完成」 の先には 「崩壊」しかない
ということを昔の日本人はよく理解していたため、
わざと「未完成」という状態にすることで、
永遠につづくことを願掛けしたわけです。
人間が永遠に未完成なのも
そういうことかもしれません。
◇ そしてその柱の前後に、
人間の一生を象徴した、合計八場面の
猿の彫刻があることはご存知でしょうか。
1 手をかざして遠くを見ている母猿
・・・子供の幸せな未来を願う
2 見ざる・聞かざる・言わざる
・・・幼少期は悪いことを見たり、聞いたり、
話したりせず、素直なまま育って
ほしいという親の思い
3 座っている猿
・・・独り立ち直前の様子
4 上を見上げている青年期の猿
・・・青雲の志を抱く
5 下を覗き込む猿と背中に手を当てる猿
・・・困難に直面するが、周囲の励ましで
乗り越えていく
6 もの思いにふける様子の猿
・・・恋愛の悩みをと通して成長する
7 仲睦まじい二匹の猿
・・・夫婦で荒波を乗り越えていく
8 お腹の大きい猿
・・・小猿のやがて自分が親となり、
やっと親の苦労がわかる
この彫刻は、人間の生き方を示す
手本でもあり、子を思う親の
愛情の深さを教えてくれます。
職場人として、家庭人として、
「未完成」を少しずつ補いながら
親の思いに応えることができるよう、
今を精一杯生きていきましょう。
*今日一日の人生を大切に!